ミリタリーウォッチと聞いて、どのような時計を思い浮かべるでしょうか。高い視認性、過酷な環境に耐える堅牢性、そして任務をサポートする実用的な機能。そのすべてを、かつてないレベルで実現した時計があります。
それが、今回ご紹介する「MTM Falcon (ファルコン)」です。
特殊部隊や法執行機関のために開発されたこの時計は、単なる時刻を知るための道具ではありません。暗闇を切り裂くトーチライトにもなる、唯一無二の充電式ミリタリーウォッチ。その本物の魅力を、ミリタリーギア好きの視点から徹底レビューします。
「MTM Falcon」の概要
MTM Falconは、アメリカのミリタリーウォッチブランド「MTM Special Ops」を代表するモデルの一つです。
最大の特徴は、高輝度LEDライト機能を搭載している点。文字盤全体を照らす内部ライトに加え、時計の上部には外部を照らすための強力なトーチライト(フラッシュライト)が備わっています。これらの機能は、内蔵された充電式リチウムイオンバッテリーによって駆動します。
ケース素材には、軽量なチタンが使用され、風防にはサファイアクリスタルガラスを採用。100M防水性能も備え、ミリタリーやアウトドアなど過酷な環境での使用を想定した、極めて堅牢なタクティカルウォッチです。
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 耐久性 | 高 :(チタンケース、サファイアクリスタルガラス) |
| 防水性 | 高:100メートル (10気圧) 防水 |
| 耐磁性 | 不明 |
| 視認性 | 高 :(スーパールミノバ針・インデックス、高輝度LEDライト搭載) |
| 操作性 | ねじ込み式リューズ、ライト用プッシャー |
| ムーブメント | MTM 独自開発 クオーツ(スイス製) |
| 動力の持ち時間 | 充電式リチウムイオン (ライト機能不使用時、1回の充電で約1ヶ月) |
| 素材(ケース・裏蓋・風防) | ケース:チタン 裏蓋:チタン(ねじ込み式) 風防:サファイアクリスタルガラス(反射防止コーティング) |
| ケース径 | 44mm |
| ケース厚 | 14mm |
| 重量 | 142g |
| ベルトの種類 | メタルブレス(チタン)、ラバー、ナイロン |
- 実用性重視のタクティカルウォッチ
- 軽量で耐久性の高いチタン製
- 3モードあるライト機能
MTMの腕時計を採用する政府機関や部隊
MTM Special Opsの時計は、そのGSA(米国共通役務庁)承認規格に基づく高い品質と耐久性から、特定のモデルが制式採用されているというよりも、ブランド全体として多くのプロフェッショナルに選ばれています。
具体的には、米国の陸・海・空軍の各部隊、Navy SEALs(海軍特殊部隊)、シークレットサービス、FBI(連邦捜査局)、DEA(麻薬取締局)などの連邦法執行機関、さらにはSWATチームやファーストレスポンダー(緊急対応要員)に至るまで、極めてシビアな環境で活動する人々向けに開発されています。
映画・ドラマ・アニメでの使用実績
MTMの名を世界的に高めたのは、間違いなく海外ドラマ「24 -TWENTY FOUR-」です。
主人公の連邦捜査官ジャック・バウアー(演: キーファー・サザーランド)が、シーズン4、5、6にわたってMTMの「Black Hawk (ブラックホーク)」モデルを着用しました。Falconとはモデルが異なりますが、同じSpecial Opsシリーズであり、MTMのタフで機能的なイメージを強烈に印象付けました。絶体絶命の危機を乗り越え続けるジャックの腕で時を刻む姿は、多くのミリタリーファンや時計愛好家の憧れとなりました。
所有している有名人
前述のキーファー・サザーランドは、ドラマでの使用をきっかけに、プライベートでもMTMウォッチを愛用していると言われています。彼は「24」の撮影中、MTMの時計の機能性(特にライト)に感銘を受けたと伝えられています。彼のほかにも、MTMの堅牢で男性的なデザインは多くのアクションスターやセレブリティに好まれていますが、ブランドとして公に着用情報を発信することは少ないようです。
生産国とその歴史的背景
MTM (Multi-Time-Machine) は、2002年にアメリカ合衆国カリフォルニア州ロサンゼルスで創業しました。(旧名はアメリカン・ウォッチカンパニー)
そのルーツは、軍や法執行機関のプロフェッショナルたちの「より戦略的で、過酷な任務に応えられる時計が欲しい」という要求に応えるために、約25年前に開発プロジェクトが始まったことにあります。
MTMは創業以来、一貫してカリフォルニアの拠点で、最先端の技術と妥協のない品質管理のもと、時計の製造を行っています。単なるミリタリー”テイスト”ではない、本物のプロフェッショナル・ギアを生み出すという信念が、その歴史的背景には流れています。
「MTM Falcon」の特徴と機能
代表的な型番としては、ケースやブレスの素材・カラーによって以下のようなバリエーションがあります。
- FALCON Black On Black Titanium -Tit Band:ケース・ブレスがブラックチタン製、文字盤もブラック
- FALCON Black Titanium – Tit Band:ケース・ブレスがブラック製
- FALCON Grey Titanium – Tit Band:ケース・ブレスがグレーチタン製
- FALCON Silver Titanium – Tit Band:ケース・ブレスがシルバーチタン製
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 耐久性 | 高 :(チタンケース、サファイアクリスタルガラス) |
| 防水性 | 高:100メートル (10気圧) 防水 |
| 耐磁性 | 不明 |
| 視認性 | 高 :(スーパールミノバ針・インデックス、高輝度LEDライト搭載) |
| 操作性 | ねじ込み式リューズ、ライト用プッシャー |
| ムーブメント | MTM 独自開発 クオーツ(スイス製) |
| 動力の持ち時間 | 充電式リチウムイオン (ライト機能不使用時、1回の充電で約1ヶ月) |
| 素材(ケース・裏蓋・風防) | ケース:チタン 裏蓋:チタン(ねじ込み式) 風防:サファイアクリスタルガラス(反射防止コーティング) |
| ケース径 | 44mm |
| ケース厚 | 14mm |
| 重量 | 142g |
| ベルトの種類 | メタルブレス(チタン)、ラバー、ナイロン |
MTM Falconの最大の魅力は、他のミリタリーウォッチにはない独自の機能性、特に「光」にあります。充電式バッテリーを動力源とし、高い堅牢性を持つケースに、時刻確認以上の価値を持つ強力なライト機能を詰め込んでいます。
- 3モードのライト機能(内部ライト / 外部トーチライト / ストロボ)
- USB経由での充電式リチウムイオンバッテリー
- ソリッド316Lステンレススチールまたはチタン製の堅牢なケース
- 高い硬度を誇るサファイアクリスタルガラス風防
- 暗所での視認性を確保するスーパールミノバ(蓄光塗料)
唯一無二の「3モードライト機能」
FalconをFalconたらしめている、核となる機能です。2時位置のプッシャー(ライト用ボタン)を操作することで、3つのモードを切り替えられます。
- 内部ライト(Dial Illumination)
-
1回押すと、文字盤全体がブルーまたはホワイトのLEDで明るく照らされます。夜間や暗所での確実な時刻確認を可能にします。スーパールミノバの蓄光とは異なり、能動的に鮮やかに発光するのが特徴です。
- 外部トーチライト(Flashlight Mode)
-
プッシャーを長押しすると、12時位置に搭載された2つの高輝度LEDライトが点灯します。これはもはや「時計のライト」というレベルではなく、小型の懐中電灯(トーチ)そのものです。暗い場所で鍵穴を探したり、足元を照らしたり、地図を確認したりと、サバイバルやタクティカルな状況で絶大な威力を発揮します。
- ストロボモード(Strobe Light)
-
外部ライト点灯中にもう一度プッシャーを長押しすると、ライトが高速で点滅するストロボモードになります。これは緊急時のシグナルや、相手の目を眩ませる目的(タクティカルな使用)も想定されています。
クオーツ時計の常識を覆す「充電式バッテリー」
これほど強力なLEDライトを駆動させるためには、通常のボタン電池では電力が全く足りません。そこでFalconは、クオーツ時計としては極めて珍しい「充電式リチウムイオンバッテリー」を採用しています。
専用の充電器(電磁誘導式またはUSBケーブル)を介して充電を行い、フル充電の状態(ライト機能不使用時)で約1ヶ月間駆動します。もちろん、ライト機能の使用頻度によって駆動時間は短くなります。
頻繁な電池交換が不要であると同時に、必要な時にためらわずに強力なライトを使えるという、実用上の大きなメリットを生み出しています。バッテリー残量は4時位置のインジケーターで確認できるため、いざという時に「電池切れ」という最悪の事態も避けられます。
過酷な使用に耐える「堅牢なマテリアル」
Falconは、その特殊な機能だけでなく、ミリタリーウォッチとしての基本性能である堅牢性も一切妥協していません。
ケース素材には、軽量かつ高強度でアレルギーフリーな「ソリッドチタン」の塊から削り出して作られています。
風防には、ダイヤモンドに次ぐ硬度を持つ「サファイアクリスタルガラス」を採用し、反射防止コーティングも施されています。これにより、あらゆる角度からの衝撃や摩擦から文字盤を守りつつ、高い視認性を確保します。
さらに、リューズはねじ込み式を採用し、100Mの防水性能を確保。雨や汗はもちろん、水辺でのハードなアクティビティにも対応可能です。
「MTM Falcon」と他モデルの腕時計との比較
同一ブランドの他モデルとの比較
MTM Special Opsのラインナップの中で、Falconとしばしば比較されるのが「MTM Vulture (ヴァルチャー)」です。VultureもFalconと同様に、充電式の高輝度LEDライトを搭載したフラッグシップモデルの一つです。
両者の最大の違いは、まずそのサイズ感にあります。Falconがケース径44mm、厚さ14mmであるのに対し、Vultureはケース径47mm、厚さ17.5mmと、一回り以上大きく、分厚く、重厚な設計になっています。このため、Vultureの存在感はFalconを凌駕しますが、同時にその大きさが日常使いや服装(特に袖口)との兼ね合いでネックになる可能性もあります。
機能面では、VultureもFalconと同様に外部トーチライトや内部ライトを搭載していますが、Vultureの方がより多機能・高出力なモデルとして位置付けられています(例:ライトの調光機能、UVライト搭載モデルの存在など)。
どちらも「ライトを搭載した充電式ミリタリーウォッチ」という点は共通していますが、VultureがMTMの技術の粋を集めた「最大・最強」のモデルであるならば、FalconはVultureの持つ革新的な機能を、より実用的なサイズ感にバランス良くまとめた「スタンダード・モデル」と言えるでしょう。ミリタリーウォッチとしての迫力と最強のスペックを求めるならVulture、強力なライト機能を維持しつつ、日常での装着感も考慮するならFalcon、という選択になるでしょう。
他社の類似モデルとの比較
Falconの「光る」機能は独特ですが、「夜間の視認性が高いミリタリーウォッチ」という括りで比較対象となるのが「Luminox(ルミノックス)」です。

Luminoxの最大の特徴は、「ルミノックス・ライト・テクノロジー (LLT)」と呼ばれる自己発光システムです。これは、トリチウムガスを封入したマイクロガスカプセルを針やインデックスに搭載するもので、外部からの光を必要とせず、またボタン操作なども不要で、約25年間もの間、昼夜を問わず発光し続けます。
Falconのライト機能との違いは明らかです。Luminoxは「常時、時刻を確認できるレベルで光り続ける」パッシブ(受動的)な光です。一方、Falconは「必要な時に、強力な光を能動的に点灯させる」アクティブ(能動的)な光です。Falconのライトは懐中電灯代わりになりますが、Luminoxはなりません。
また、動力源も異なります。Luminoxは通常のクオーツ(または自動巻き)であり、LLTは電池を消費しません。Falconはライトのために充電が必要です。
素材の面でも、Luminoxは軽量なカーボンコンパウンド(CARBONOX)ケースのモデルを主力としており、Falconのソリッドチタンやステンレススチールとは対照的です。どちらもNavy SEALsに採用(または愛用)された実績を持ちますが、視認性へのアプローチ、時計としての哲学が全く異なる両者。常時発光の安心感と軽さを取るか、圧倒的な光量と充電式というギミックを取るか、ミリタリー好きにとっては悩ましくも楽しい選択と言えるでしょう。
「MTM Falcon」の実用性
ビジネスシーンに利用できるか
MTM Falconをビジネスシーンで利用できるかは、その職場の環境や服装の規定に大きく左右されます。
まず、Falconのデザインは44mmというケース径以上に、その厚みとゴツゴツとした無骨なミリタリーデザインによって、圧倒的な存在感を放ちます。フォーマルなスーツスタイルが求められる厳格な職場(金融、公務員、営業など)では、ワイシャツの袖口に収まらないだけでなく、その外観がTPOにそぐわないと判断される可能性が高いでしょう。
一方で、服装の自由度が高いIT企業やクリエイティブ系の職場、あるいは内勤が中心でビジネスカジュアルが許容される環境であれば、Falconは個性を主張するアイテムとして機能します。特に「ブラックオンブラック」のような落ち着いたカラーモデルを選び、ジャケットやタフな素材感のシャツと合わせれば、洗練された「大人のミリタリースタイル」として成立するかもしれません。
結論としては、一般的なビジネスシーンには不向きですが、職場の許容範囲が広い場合や、個性を武器にするような業種であれば、「あえて選ぶ」という選択肢はあり得ます。
長く利用するためのコツやメンテナンス方法
MTM Falconは精密なクオーツ時計であると同時に、充電式バッテリーという特殊な機構を内蔵しています。長く愛用するためには、適切なメンテナンスが不可欠です。
最大の注意点は「バッテリー」です。Falconは充電式リチウムイオンバッテリーを使用しており、これはスマートフォンなどと同様に、充放電を繰り返すことで徐々に劣化します。しかし、このバッテリー交換は、一般的な時計店ではまず対応できません。
日本の正規代理店(MTM WATCH JAPAN)は、充電池の交換は必ずメーカー(または正規代理店)に依頼するよう強く推奨しています。無理に裏蓋を開けたり、非正規の業者に依頼したりすると、故障の原因となるだけでなく、防水性能が著しく低下し、保証の対象外となります。
日常のメンテナンスとしては、使用後に柔らかい布で汗や汚れを拭き取ること、リューズやプッシャーが確実に閉まっているか確認することが基本です。
長く利用するコツは、数年に一度(バッテリーの持ちが悪くなったと感じたタイミングでも良いでしょう)は正規代理店にオーバーホール(分解清掃)とバッテリー交換を依頼することです。防水パッキンの交換なども同時に行うことで、Falcon本来の堅牢性と機能性を長期間維持することができます。
オススメの購入方法と安く購入する方法
MTM Falconは高機能な特殊時計であり、決して安価ではありません。購入方法にはいくつかの選択肢がありますが、それぞれにメリットとデメリットが存在します。
最もオススメな購入方法は、日本の正規代理店(MTM WATCH JAPAN)の公式オンラインストア、または「オンタイム銀座ロフト店」などの正規取扱実店舗で購入することです。正規輸入品には、3年間のメーカー保証が付帯します。前述の通り、Falconはバッテリー交換などのメンテナンスが特殊なため、正規代理店の保証とアフターサービスを受けられることは、長期的に見て最大のメリットとなります。
安く購入する方法としては、並行輸入品や中古品を探すという選択肢があります。これらは正規店よりも安価な場合がありますが、いくつかのリスクを伴います。まず、正規代理店の保証やアフターサービスが受けられない可能性が非常に高いです。
特に中古品の場合、内蔵バッテリーがどの程度消耗しているか不明です。購入後すぐにバッテリー交換が必要になっても、正規代理店で高額な修理費用(保証対象外のため)がかかるか、最悪の場合、修理自体を断られる可能性もゼロではありません。
Falconの特殊な機能を考慮すると、初期費用は高くとも、安心して長く使うために正規代理店での購入を選択することが、結果的に最も賢明な方法と言えるでしょう。
まとめ|「MTM Falcon」徹底レビュー
MTM Falconのスペックと実用性をレビューしましたが、これは単なるミリタリーテイストの腕時計ではありません。暗闇を照らす強力なLEDライト、それを支える充電式バッテリー、そして過酷な環境に耐える堅牢なボディ。そのすべてが、現場のプロフェッショナルの要求に応えるために設計された、唯一無二のタクティカル・ギアです。
ドラマ「24」でジャック・バウアーがMTMを選んだように、この時計は持つ者に「いかなる状況にも対処できる」という自信と機能を与えてくれます。もちろん、その大きさや特殊性から、使う場所や人を選ぶ時計であることも事実です。しかし、そのすべてを理解した上でこのFalconを腕にする時、あなたは本物のミリタリーウォッチが持つ、計り知れない魅力を体感することになるでしょう。
- メリット
-
強力なLEDライト機能により、時計が懐中電灯代わりになるという唯一無二の実用性を持つ
- 懐中電灯として実用的なレベルの高輝度LEDライトを搭載している
- チタンまたはステンレススチールの削り出しケースとサファイアガラスによる高い堅牢性
- 充電式バッテリーにより、強力なライト機能のランニングコスト(電池交換)を抑えられる
- 「24」のジャック・バウアー愛用ブランドという、ミリタリー好きの所有感を満たすストーリー性
- デメリット
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特殊な充電式バッテリーを採用しているため、メンテナンスは正規代理店に依存する必要がある
- ケースが大きく厚みがあるため、ビジネスシーンや服装を選ぶ
- 充電池の交換は正規代理店でのみ可能であり、メンテナンスの自由度が低い
- ライト機能を使用するとバッテリーの消耗が早いため、定期的な充電管理が必要
- 一般的なクオーツ時計と比較して、価格が高額である




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