腕時計の歴史は、人類の挑戦の歴史と深く結びついています。特に航空技術の発展は、パイロットの腕で時を刻む時計に、より高い精度と特殊な機能を求めました。
今回レビューする「アウトライン セコンドセッティング」は、第二次世界大戦期のパイロットウォッチのデザインを現代に蘇らせたモデル。当時の雰囲気を忠実に再現しながらも、現代の技術で信頼性を高めたこのモデルは、腕にするたびに大空へのロマンを感じさせてくれます。
本記事では、この時計が持つロマンあふれる魅力と、ビジネスからカジュアルまで幅広く使える実用性について、徹底レビューします。
「アウトライン セコンドセッティング」の概要
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 耐久性 | ステンレススチールケース |
| 防水性 | 10気圧防水 |
| 耐磁性 | 不明 |
| 視認性 | スーパールミノバ(ベージュ)夜光 |
| 操作性 | ねじ込み式リューズ、回転ベゼルロック機構、ハック機能 |
| ムーブメント | 日本製自動巻き(MIYOTA Cal.9039) |
| 動力の持ち時間 | 約42時間 |
| 素材(ケース・裏蓋・風防) | 316Lステンレススチール(ネジ込み式)、K1強化ガラス(ドーム型) |
| ケース径 | 37.8mm |
| ケース厚 | 14.7mm(風防含む) |
| 重量 | 約60g |
| ベルトの種類 | ナイロンNATOベルト |
アウトラインの腕時計を採用する政府機関や部隊
アウトラインは、日本の時計専門誌「パワーウォッチ」がプロデュースするブランドであり、特定の政府機関や軍隊に制式採用された実績は現時点ではありません。
しかし、この「アウトライン セコンドセッティング」のデザインソースとなった“ウィームス・セコンドセッティングウォッチ”は、1930年代から40年代にかけて、イギリス空軍(RAF)やアメリカ陸軍航空隊(のちのアメリカ空軍)をはじめとする各国のパイロットに広く採用された歴史的な航空時計です。
したがって、アウトライン セコンドセッティングは、特定の部隊名こそありませんが、第二次世界大戦下の空を駆けたパイロットたちが腕にした時計の系譜を、最も色濃く感じられるモデルと言うことができます。
実戦で使用されたエピソード
アウトライン自体に実戦での使用エピソードはありませんが、その原型である“ウィームス・セコンドセッティングウォッチ”は、第二次世界大戦という過酷な実戦の場でパイロットの命を支えました。
当時の航空機は現代ほど航法システムが発達しておらず、パイロットは地図と時計、そして天体を頼りに目的地まで飛行していました。正確な時間計測は、燃料計算や爆撃タイミングの決定など、作戦の成否と自らの生死に直結する極めて重要な要素でした。ウィームスウォッチが持つ秒単位での時刻設定機能は、編隊を組む僚機との連携や、長距離飛行における精密なナビゲーションを可能にし、数々のミッション遂行に貢献したと言われています。この時計は、まさに大空の戦場でパイロットと共に戦った「計器」だったのです。
映画・ドラマ・アニメでの使用実績とタイトル
アウトラインブランドの腕時計が、著名な映画やドラマなどで使用されたという公式な情報は見当たりませんでした。
しかし、第二次世界大戦中のイギリス空軍やアメリカ陸軍航空隊を描いた映画では、時代考証に基づき、ウィームスウォッチやそれに類するパイロットウォッチが小道具として登場することがあります。
例えば、映画「ダンケルク」や「メンフィス・ベル」などで描かれるパイロットたちの装備に注目することで、セコンドセッティングが持つ世界観をより深く理解できるでしょう。この時計は、そうした歴史映画のファンにとっても、物語への没入感を高めてくれる特別なアイテムとなり得ます。
生産国とその歴史的背景。
アウトラインは、日本の時計専門誌「パワーウォッチ」によって企画・デザインされています。ムーブメントには信頼性の高い日本製(MIYOTA Cal.9039)を採用しています。
この時計の真髄は、その歴史的背景にあります。1929年、アメリカ海軍士官であり、航空航法システムの権威であったフィリップ・ヴァン・ホーン・ウィームス中佐によって考案されたのが“ウィームス・セコンドセッティングウォッチ”です。
当時、秒針を止めて時刻を合わせる「ハック機能」は一般的ではありませんでした。そこでウィームスは、時計のベゼルを回転させ、時報とともに秒針の先端とベゼルのマーカーを合わせることで、秒単位の正確な時刻設定を可能にする画期的なシステムを発明しました。この時計はロンジン社などによって製品化され、主にイギリス空軍で採用されるなど、第二次世界大戦期のパイロットたちに不可欠な計器として活躍しました。アウトライン セコンドセッティングは、この歴史的名作の40年代モデルをベースに、その意匠と魂を現代に蘇らせたモデルなのです。
「アウトライン セコンドセッティング」の特徴と機能
- Ref.YK20222-1BK(文字盤ブラック)
- Ref.YK20222-2BL(文字盤ブルー)
| 項目 | スペック |
|---|---|
| 耐久性 | ステンレススチールケース |
| 防水性 | 10気圧防水 |
| 耐磁性 | 不明 |
| 視認性 | スーパールミノバ(ベージュ)夜光 |
| 操作性 | ねじ込み式リューズ、回転ベゼルロック機構、ハック機能 |
| ムーブメント | 日本製自動巻き(MIYOTA Cal.9039) |
| 動力の持ち時間 | 約42時間 |
| 素材(ケース・裏蓋・風防) | 316Lステンレススチール(ネジ込み式)、K1強化ガラス(ドーム型) |
| ケース径 | 37.8mm |
| ケース厚 | 14.7mm(風防含む) |
| 重量 | 約60g |
| ベルトの種類 | ナイロンNATOベルト |
1940年代の航空時計“ウィームス”の意匠を再現しつつ、現代の技術で実用性を高めたモデルです。回転ベゼルを用いた秒設定の機構や、ヴィンテージ感を高めるドーム型風防など、航空時計とミリタリー好きの心をくすぐるディテールが満載です。
- 秒単位の時刻設定を可能にする回転ベゼルとロック機構
- ヴィンテージ感を演出するドーム型の強化プラスチック風防
- グローブをしたままでも操作しやすい大型のリューズ
- 信頼性の高い日本製の自動巻きムーブメント(MIYOTA Cal.9039)の採用
- 夜間の視認性を確保するスーパールミノバ夜光塗料
- ブラック、エイジング、アイボリーの3種類の文字盤バリエーション
航空時計の歴史を体現する「セコンドセッティング」機構
この時計の最大の特徴であり、モデル名の由来ともなっているのが「セコンドセッティング」機構です。
原型である“ウィームスウォッチ”が開発された当時、腕時計の秒針を任意で停止させるハック機能はまだ普及していませんでした。そこで考案されたのが、回転ベゼルによって秒単位の時刻合わせを行う画期的な方法です。
具体的には、まず時報などを聞きながら、回転ベゼルを回してベゼルの▲マーカーを秒針の位置に合わせます。そして2時位置にあるリューズ(ロック用のネジ)を締めてベゼルを固定することで、秒単位での時刻の同期が完了します。
アウトライン セコンドセッティングは、この歴史的な機構をデザインとして忠実に再現しています。もちろん、搭載されている現代のムーブメントにはリューズ操作によるハック機能も備わっているため、実用上はより簡単に時刻合わせが可能です。しかし、このベゼルを操作する行為そのものが、かつてのパイロットたちが行ったであろう手順を追体験させてくれる、ロマンあふれるギミックなのです。
ヴィンテージの風合いを再現したこだわりのディテール
アウトライン セコンドセッティングの魅力は、細部にまでこだわり抜かれたヴィンテージ感の演出にあります。
まず目を引くのが、こんもりと盛り上がったドーム型のミネラルガラスのK1強化ガラス風防です。独特の温かみと光の屈折がアンティークウォッチのような雰囲気を醸し出します。
また、パイロットがグローブをはめたままでも操作しやすいように設計された、大きめのタマネギ型リューズも航空時計ならではの特徴です。さらに、文字盤や針に施されたベージュのスーパールミノバ夜光は、長年使い込まれて焼けたようなトリチウム夜光の色合いを表現しています。
これらのディテールが組み合わさることで、まるで第二次世界大戦を戦い抜いた本物のヴィンテージウォッチのような風格を腕元で楽しむことができるのです。
現代で安心して使える信頼性の高い日本製ムーブメント
ヴィンテージウォッチは魅力的ですが、精度やメンテナンスの面で不安が残ることも少なくありません。その点、アウトライン セコンドセッティングは、心臓部であるムーブメントに、シチズン傘下のMIYOTAが製造する日本製自動巻きキャリバー「9039」を採用しています。
このムーブメントは、薄型で信頼性が高く、多くのマイクロブランドで採用実績のある傑作機です。ハック機能も備えており、日差も安定しているため、日常使いにおいてストレスを感じることはないでしょう。
デザインは1940年代の航空時計そのものでありながら、内部は信頼できる現代の技術で固められている。この「良いとこ取り」こそが、アウトライン セコンドセッティングが多くの時計好きから支持される理由です。歴史的なロマンと現代的な実用性を見事に両立させた、非常にバランスの取れた一本と言えます。
アウトライン セコンドセッティングと他モデルの腕時計との比較
同一ブランドの他モデルとの比較
アウトラインは、セコンドセッティング以外にも魅力的なミリタリーウォッチを展開しています。
例えば、1970年代の米軍官給品をモチーフにした「ディスポーザブルウォッチ」や、エクスプローラーIを彷彿とさせるデザインの「369」シリーズが挙げられます。これらのモデルと比較することで、セコンドセッティングの独自性がより明確になります。
「ディスポーザブルウォッチ」は、ベトナム戦争期の陸軍兵士が使用した時計を再現しており、より無骨でツール感が強いモデルです。一方、「369」は特定の軍用時計というよりは、探検や冒険に用いられたフィールドウォッチとしての性格が強く、より普遍的なデザインです。
これに対して「セコンドセッティング」は、第二次世界大戦期の航空時計という明確なテーマを持っています。回転ベゼルや大型リューズなど、そのデザインはパイロットのための「計器」としての性格を色濃く反映しており、ブランド内では最もクラシカルで、歴史的ロマンを感じさせるモデルと言えるでしょう。陸のミリタリーウォッチを選ぶか、空のパイロットウォッチを選ぶか、それぞれのストーリーの違いで選ぶ楽しみがあるのもアウトラインの魅力です。
他社の類似モデルとの比較
歴史的な航空時計をルーツに持つモデルは、数多くのブランドから発表されています。その中でも、アウトライン セコンドセッティングの比較対象として筆頭に挙げられるのが、本家とも言える「ロンジン ヘリテージ ウィームス セコンドセッティング」です。
ロンジンは、実際にウィームスウォッチを製造していた歴史を持ち、その復刻モデルは極めて高い完成度とブランドの権威性を誇ります。しかし、その分価格は数十万円と高価になり、気軽に楽しめるものではありません。一方、アウトラインは、手の届きやすい価格で、歴史的名作の雰囲気を存分に味わえるという大きなメリットがあります。
また、同じく第二次世界大戦期のパイロットウォッチをルーツに持つブランドとして、IWCの「パイロット・ウォッチ・マーク」シリーズや、ドイツのLaco(ラコ)、Stowa(ストーヴァ)などが存在します。
これらのブランドは、いずれも実際に軍に時計を供給していた歴史を持ち、本格的なパイロットウォッチを製造しています。価格帯はアウトラインよりも上のレンジになりますが、ブランドの歴史やより本格的なスペックを求めるのであれば、これらのモデルも比較検討の対象となるでしょう。
その中で、アウトライン セコンドセッティングは、「ウィームス式」というユニークな機構に焦点を当てた点と、圧倒的なコストパフォーマンスの高さで、独自のポジションを確立しています。
アウトライン セコンドセッティングの実用性
ビジネスシーンに利用できるか
クラシカルなデザインを持つアウトライン セコンドセッティングは、ミリタリーウォッチの中では比較的ビジネスシーンにも合わせやすいモデルです。厳格なスーツスタイルが求められる職場では難しいかもしれませんが、ビジネスカジュアルやオフィスカジュアルが許容される環境であれば、知的なアクセントとして活躍します。
37.8mmというケースサイズは現代の基準ではやや小ぶりで、シャツの袖口にも収まりやすく、悪目立ちしません。付属のナイロンベルトから、ブラックやブラウンのレザーベルトに交換するだけで、ぐっと落ち着いたヴィンテージドレスウォッチのような雰囲気に変わります。ジャケットスタイルにも違和感なく馴染み、時計好きの同僚や取引先との会話のきっかけにもなるかもしれません。TPOをわきまえれば、オンオフ問わず頼れるパートナーとなってくれるでしょう。
長く利用するためのコツやメンテナンス方法
アウトライン セコンドセッティングを長く愛用するためには、いくつかの点に注意が必要です。
日常的な手入れとしては、着用後にセーム革やマイクロファイバークロスなどの柔らかい布で、ケースや風防についた汗や皮脂、汚れを優しく拭き取ってください。特にレザーストラップは水分や汗に弱いため、濡れた場合は乾いた布で水分を吸い取り、風通しの良い場所で陰干しすることが大切です。
次に、ムーブメントは自動巻きですが、長期間使用しない場合は止まってしまいます。使い始める際には、リューズを回してゼンマイを巻き上げてから時刻を合わせることをお勧めします。また、3〜5年に一度は、時計修理専門店でのオーバーホール(分解掃除)が推奨されます。これにより、内部の油の劣化や部品の摩耗を防ぎ、精度を長く保つことができます。
10気圧防水は日常生活での汗や雨には耐えられますが、着用したままシャワーを浴びたり泳いだりすることは避けるべきです。日々の少しの気遣いが、この時計を末永く最高のコンディションで保つ秘訣です。
オススメの購入方法と安く購入する方法
アウトライン セコンドセッティングの主な購入方法は、公式サイトである「OUTLINE WATCHES TOKYO」のオンラインストア、または正規取扱店となります。
新作や限定モデルを確実に手に入れたい場合は、公式サイトを定期的にチェックするのが最も確実です。公式サイトでは、ブランドのコンセプトや各モデルの詳細な情報も得られるため、納得して購入することができます。
少しでも安く購入したい場合は、中古市場やフリマアプリなどを探すという選択肢もあります。発売から時間が経ったモデルであれば、新品同様の状態のものが定価よりも安く出品されている可能性があります。
ただし、個人間取引の場合は、商品の状態を写真だけで判断する必要があり、偽物や故障のリスクも伴います。購入する際は、出品者の評価をよく確認し、信頼できる相手から購入することが重要です。また、腕時計専門店が運営する中古販売サイトを利用するのも一つの手です。専門家による検品が行われているため、フリマアプリよりは安心して購入できるでしょう。ただし、人気モデルのため中古市場での価格は安定しており、極端に安い価格で手に入れることは難しいかもしれません。
まとめ|アウトライン セコンドセッティング徹底レビュー
アウトライン セコンドセッティングは、1940年代の歴史的な航空時計“ウィームス”を、見事なこだわりと現代的な品質で再現した一本です。
回転ベゼルや大型リューズが醸し出すクラシカルな雰囲気は、大空のロマンを愛するミリタリーファンや時計愛好家の所有欲を強く満たしてくれます。心臓部には信頼性の高い日本製ムーブメントを搭載し、日常使いでの不安はありません。決して高級時計ではありませんが、その背景にあるストーリーと、作り手の情熱が感じられる、価格以上の価値を持つ腕時計です。
本格的なパイロットウォッチへの入門機として、また、玄人のセカンドウォッチとしても、自信を持っておすすめできるモデルと言えるでしょう。
メリット:歴史的な航空時計のユニークな機構とロマンを、手頃な価格と現代の品質で楽しめる点
- “ウィームス”という明確なコンセプトと歴史的ストーリー性
- 回転ベゼルなど、細部までこだわったクラシカルなデザイン
- 信頼性の高い日本製の自動巻きムーブメントを搭載
- 本格的なパイロットウォッチとしては圧倒的なコストパフォーマンス
- 小ぶりで装着感の良いケースサイズ
デメリット:無骨なデザインで好みが分かれる
- ブランドの知名度やステータス性は高くない
- 厳格なビジネスシーンには不向きな場合がある
- 防水性能は日常生活防水レベルにとどまる



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