浦沢直樹のマニアックなミリタリー知識が満載の漫画「パイナップルARMY」の見どころをいくつか紹介します。ネタバレ要素が少しだけあります。

「パイナップルARMY」は、全体的にハードボイルドな内容で1話完結型のストーリーとなっています。ガンアクション満載のヒーローものの漫画ではなく、東西冷戦時代の各国の社会問題や紛争を背景とした人間ドラマが色濃く描かれており、ミリタリー要素のあるヒューマンドラマ調の漫画です。

作品名パイナップルARMY
作者浦沢直樹、工藤かずや
連載誌ビッグコミックオリジナル
連載日1985年-1988年
出版社小学館
カテゴリーアクションサスペンス

パイナップルARMYのあらすじ

パイナップルARMYは、ベトナム戦争、フォークランド紛争など様々な戦争・紛争を経験した元傭兵のジェド・豪士が、民間軍事援助組織の戦闘インストラクターとして、様々な危険な依頼から生き残る術をレクチャーし依頼を解決していくという内容。基本一話完結型のストーリーとなっています。

原作はゴルゴ13の脚本を手掛けた工藤かずや、作画はYAWARAや21世紀少年、MONSTERなどの浦沢直樹。作風は、様々な特殊技術で問題を解決する一話完結型のドラマ仕立てという点で、浦沢直樹のMASTERキートンや後のMONSTERに通じるところが多くあります。

パイナップルARMYのミリタリー的見どころ

パイナップルARMYは軍事考証がしっかりとしているのが特徴であり見どころです。登場する武器、兵器類や部隊、コンバットスキル、サバイバルスキルに対する考証がしっかりとしており、ストーリー全体のリアリティが高い漫画です。

実践的なコンバットスキルが多数登場

主人公 ジェド・豪士の傭兵時代の知識を活かした、各種銃器の取り扱いや爆発物の扱いや解体、ブービートラップの扱い、サバイバル術、FBIやCIA、SASなど各国の特殊部隊が使うコンバットスキルが登場します。

豪士の得意分野は、爆発物の取り扱いでM79グレネードランチャーのスペシャリストでもあります。そのため漫画の中では、手榴弾などの爆発物やM79グレネードランチャーが頻繁に登場します。

ちなみに、漫画タイトルのパイナップルARMYは、その形状からパイナップルの愛称で呼ばれるマークII手榴弾からきています。作中でもこのマークII手榴弾は、ブービートラップとして利用したりと頻繁に登場します。

東西冷戦時代の兵器が多数登場

漫画の連載時期に当たる、東西冷戦時代やベトナム戦争時代の兵器が多数登場します。

豪士の愛用する武器は、M79グレネードランチャー、コルト ガバメント、Cz75などなど。基本的にはその場に応じた武器を使用する感じ。

大物兵器だとハインドDなど。

パイナップルARMYを電子書籍で読む

残念ながらパイナップルARMYは電子書籍化されていません。浦沢直樹の漫画は、電子では紙媒体の良さが出ない!という作者の意向でどの作品も電子書籍化されていません。なので↓は紙媒体です。

パイナップルARMYに登場する兵器

パイナップルARMYに登場する兵器、ミリタリー要素をいくつか紹介します。

設定年代1980年代
舞台アメリカ
登場銃火器H&K-MP5、H&K-MP5SD
H&K-PSG1
ワルサーPPK
ワルサーWA2000
モーゼルC96
FN-ハイパワー、FN-FAL
ベレッタM84、ベレッタM93R
コルトガバメント
コルトM79、M16A1
S&W-M29
ウージー、M11イングラム
Vz61スコーピオン、Cz75
キャリコM100
レミントンM31
登場兵器ハインドD
登場部隊SAS(英国陸軍特殊空挺部隊)
FBI、CIA、米軍

コルトM79グレネードランチャー

コルトM79グレネードランチャーとは、1960年にアメリカ陸軍に制式採用された中折れ式の擲弾発射器。ベトナム戦争のジャングル戦にて面制圧のための武器として多用されました。迫撃砲よりも使い勝手が良く威力も迫撃砲並み、構造が単純なため故障が少なく現在でも現役で使われているそう。また、構造が単純ことから、榴弾・散弾から暴徒鎮圧用の非致死性のゴム弾など様々な弾丸に対応しています。
・40×46mm榴弾
・発煙弾
・散弾
・フレシェット弾
・焼夷弾
・催涙弾(CSガス)
・スポンジ弾
・ゴム散弾がある

このコルトM79グレネードランチャー、なんとBB弾が発射できるガスガンがあります。

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CAW(クラフトアップルワークス )社が製造するM79ガスガンは、モスカートと呼ばれる榴弾を模して作られたグレネードランチャー用のマガジンを使用します。モスカートとは、榴弾内にガスを注入するタンクがあり、そこに100発ほどのBB弾が詰め込めるようになっており、引き金を引くと大量のBB弾を一度に発射可能。

一応サバゲー用ですが、使い勝手云々よりも男のロマン的な装備です。

ちなみに、CAW社製M79ガスガンは、榴弾自体は飛んで行きません。ガスとBB弾を詰めて何度でも使えます。

コルトM79グレネードランチャー 諸元:

種別実銃CAW製
ガスガン
全長737mm725mm
重量 2,720g1,750g
口径40x46mm6mm
装弾数1発30〜168発
価格M203で
600$ほど 
3.5万円ほど

マークII手榴弾

アメリカで開発されベトナム戦争時代によく使用された手榴弾。形状がパイナップルみたいなのでパイナップルの愛称で呼ばれます。

爆破時に刻み目に沿って割れて破片が飛ぶことを期待して作られていますが、実際はその通りに割れることはないそう。内側に刻み目を入れる必要があるとのこと。現在は後継のM26手榴弾が使用されており陸上自衛隊にも配備されている。

このマークII手榴弾も、なんとガスガン化されています。

ガンではないですが、ガス圧で底部から大量のBB弾が撒き散らされるというもの。サバゲーでの使用効果はほとんどなさそうな完全なネタ装備です。

こちらも手榴弾本体は破裂しないので、ガスとBB弾を詰めて何度でも使えます。

Mi-24 ハインドD

悪役ヘリの定番、東側最強の攻撃ヘリと言われる、旧ソ連が開発した兵員輸送可能な大型攻撃ヘリコプター。

「ハインド」はNATOが付けたコードネームで正式には「Mi-24」。アメリカなど西側諸国の攻撃ヘリコプターと異なるのは、乗員以外の兵員室が確保されている点。完全武装の兵員8名を収容することができ、地上制圧+歩兵の前線展開を1機で行うというコンセプト。

武装と装甲が強固で空飛ぶ歩兵戦闘車の異名を持ち、インパクト抜群な丸みを帯びた形状と武骨な質実剛健のデザインが特徴的。

ハインドD 諸元:

全長21.5m
最大離陸重量11,500kg
最高速度320km
乗員2人
積載量兵員8名
または1,500〜2,400kgの積載物
兵装12.7mm ガトリングガン
対戦車ミサイル×4基
32連装ロケット弾×4基
爆弾等