ジパング かわぐちかいじ

作品名
ジパング 全43巻
作者
かわぐちかいじ
連載誌
モーニング
連載日
2000年-2009年
出版社
講談社

ジパングのあらすじ

ジパングのストーリーは、海上自衛隊の最新鋭イージス艦みらいが、1942年の太平洋戦争ミッドウェー海戦前の太平洋上にタイムスリップしてしまうという、いわゆる仮想戦記ものの漫画です。みらいに乗艦していた隊員達が、その時代に流され太平洋戦争にどう関わっていくのかといった人間ドラマ、太平洋戦争時代の兵器と50年以上後の最新兵器との戦闘シーンが描かれてます。

戦闘シーンだけでなく、かわぐちかいじらしい太平洋戦争時代の日本国内の政治、軍上層部の動向、アメリカなど他国の情勢も細かく描かれており、文字も多く全43巻はとても読み応えがあります。

ジパングのミリタリー的見どころ

ミリタリー要素満載のジパングの見どころをいくつか紹介します。ネタバレ要素は少しだけあります。

登場する兵器や装備の描写がリアル

何といってもリアリティーに富んだ太平洋戦争の描写、当時の兵器や装備が詳細に描かれているのが見どころ。最新のイージス艦の運用や戦闘シーン、太平洋戦争時代の日米両国の戦艦や空母、戦闘機がふんだんに登場しリアルな戦闘シーンが描かれているのが見どころの1つです。

ジパングの中で登場する最新の兵器はイージス艦みらいと艦載ヘリコプターのみ。唯一の架空兵器として、オスプレイのような可変式のテイルローター機の海鳥が艦載機として登場します。

この海鳥、操縦士の佐竹一尉のもと米潜水艦拿捕や夜間強行偵察など大活躍。最期はみらいとその乗員を守るため、自ら盾となり海に散ります。海鳥と佐竹一尉最期ののシーンは何度読んでも鳥肌もの。

史実に基づいたリアルな設定

ジパングを読むと、太平洋戦争の戦史にやたらと詳しくなります。タイムスリップという架空戦記ものですが、基本的には史実に基づいた設定。極端な歴史改竄、架空兵器は登場しません。

太平洋戦争の時代背景や日本が占領していた東南アジア各国の当時の人々の暮らしなども細かく描かれており、戦史好きだけでなく、歴史の勉強にもなる作品です。

登場人物の心情がリアルに描かれている

ジパングは単純な戦争もの漫画ではなく、タイムスリップしてきてしまった人々の葛藤、心情も細かく描かれた人間ドラマです。未来を知っている自分たちが、より良い未来を目指しこの太平洋戦争に深く関わるべきなのか、関わるべきではないのかといった争い、この時代の人々と触れ合うことで破滅への道を進む日本を救うべきなのか、翻弄される人々の生き様も魅力です。

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ジパングに登場する兵器

ジパングに登場する兵器、ミリタリー要素をいくつか紹介します。※ごく一部です

設定年代 1942年 太平洋戦争時代
舞台 日本 アメリカ 東南アジア ドイツ
カテゴリー ミリタリー
登場兵器 銃器:
9mm拳銃 89式小銃 38式歩兵銃
戦闘機:
零戦 スピットファイア
艦船:
イージス艦 大和 武蔵 伊勢 赤城 加賀 伊号潜水艦
空母ワスプ 戦艦ノースカロライナ 戦艦アイオワ
登場部隊 自衛隊 大日本帝国海軍 大日本帝国陸軍 大日本帝国空軍 米軍

海上自衛隊あたご型ミサイル護衛艦

ジパングに登場するイージス艦みらいは、ゆきなみ型の3番艦という設定で架空のイージス護衛艦です。

ジパングに登場するみらいに一番近い形の護衛艦があたご型ミサイル護衛艦です。海上自衛隊が持つイージスシステムを搭載した護衛艦としては2世代目。前級のこんごう型と大きく異なる点はヘリ格納庫がある点、イージスシステム、その他兵装も最新化されてます。

イージスシステム(AWS)とは、アメリカ軍が開発した高度な艦載武器システム。特徴的なフェイズトアレイレーダーと高度な射撃管制システムで、450キロ四方以上の広範囲で200以上の目標を同時探知・追尾可能というもの。北朝鮮などからの弾道弾ミサイルに対するミサイル防衛能力も有します。

一般的にイージスシステムを搭載した艦艇をイージス艦と呼んでいますが、海上自衛隊の分類上はミサイル護衛艦(DDH)となります。お値段はイージス護衛艦1隻で1,500億円ほどと桁違いの価格です。

あたご型ミサイル護衛艦 諸元

満載排水量 10,000トン
全長 165m
速力 30ノット以上
乗員 300人
兵装 MK45 5インチ砲
MK41 VSL(前甲板に64セル・後甲板に32セル)
90式艦対艦誘導弾
MK32 短魚雷発射管
高性能20mm機関砲
艦載機 SH60J
その他 1番艦:あたご
2番艦:あしがら

大日本帝国海軍 大和型戦艦

日本海軍が建造した現代に至るまで史上最大の戦艦。当時の空母をはるかに上回る大きさ、その乗員が実戦時は3,000人を超えているというマンモス艦。ジパングにもストーリー上でも重要な位置付けで度々登場します。また、大和の兵装、甲板、内装に至るまで克明に描かれています。

作中でも詳細に触れられていますが、複数の水密区画や注排水システムで艦の傾きをコントロールするなど、当時の最高水準の技術が投入された不沈艦として設計されています。

一番艦が大和、二番艦が武蔵、三番艦が信濃、四番艦は計画倒れ。三番艦の信濃は建造途中で航空母艦に設計変更され空母として竣工してます。

大和型 諸元

満載排水量 78,000トン
全長 263m
速力 27ノット
乗員 約2,500人
※実戦では3,000人以上
兵装 45口径46cm3連装砲 3基
60口径15.5cm3連装砲 4基
40口径12.7cm連装高角砲 6基
25mm3連装機銃 8基
13mm連装機銃 2基
カタパルト 2基
零式水上偵察機・零式観測機他、最大7機
(数値はいずれも竣工時)

大日本帝国海軍 航空母艦 赤城

太平洋戦争初期に大日本帝国海軍の空母機動部隊の旗艦として活躍した正規空母。ミッドウェー海戦で沈没。

空母を主体とした機動艦隊の編成と運用は、日本が世界初と言われています。その主軸となったのが第一航空艦隊の空母 赤城、加賀です。ちなみに、歴史上で空母機動部隊同士の戦闘が行われたのは、太平洋戦争の日米で6戦行われたのみです。現在でも空母機動部隊の運用経験があるのは、大日本帝国海軍とアメリカ海軍だけ。

赤城 諸元

満載排水量 41,300トン
全長 260m
速力 31ノット
乗員 1,630人
兵装 20cm単装砲 6門
12cm連装高角砲 6基12門
25mm連装機銃 14基28門
艦載機:66機

アメリカ海軍 航空母艦ワスプ

第二次大戦時代のアメリカ海軍の航空母艦。排水量が15,000トンほどで軽空母にあたります。

漫画のジパングでは、みらいの放ったトマホークミサイルにより撃沈されます。実際の戦史では大日本帝国海軍の潜水艦伊-19の魚雷攻撃により大破の後、自沈しています。

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